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【京都】東寺の五重塔はなぜ地震で倒れない?現代建築にも通じる世界が驚く技術を解説!

【京都】東寺の五重塔はなぜ地震で倒れない?現代建築にも通じる世界が驚く技術を解説!

東寺の五重塔とは?高さ約55mを支える木造建築


東寺の五重塔は、京都市南区にある教王護国寺の境内に建つ、日本を代表する歴史的建築物です。

文化庁の国指定文化財等データベースによると、現在の塔は江戸時代の1643年ごろに再建されたもので、1952年に国宝に指定されています。高さは約55mで、現存する木造塔として国内最高の高さを誇ります。

木造建築なのに、なぜこれほど高くできるのか

木は、鉄やコンクリートとは異なる性質を持つ材料です。重量に対して一定の強度があり、加工しやすい一方で、湿気や腐朽、火災などへの対策も欠かせません。

東寺の五重塔では、太い柱や梁、屋根を支える組物など、さまざまな部材が組み合わされています。一つの巨大な柱だけで塔を支えるのではなく、複数の部材が力を受け渡すことで建物全体を成立させているのです。

また、五重塔は住宅のように各階を自由に使う建物ではありません。内部の構成や屋根の配置も独特で、塔としての形そのものが構造を考えるうえで重要になります。

見た目の美しさだけでなく、材料の性質や力の伝わり方まで考え抜かれていることが、伝統建築の面白さです。

五重塔が地震で倒れにくいといわれる理由

五重塔が地震に強いといわれる理由として、よく取り上げられるのが「心柱」と「建物全体の揺れ方」です。

ただし、五重塔の耐震性については複数の説があり、心柱だけが倒壊を防いでいると断定できるわけではありません。構造全体の特徴を踏まえて考えることが大切です。

1. 建物の中心に立つ「心柱」


心柱とは、塔の中心付近に立つ柱のことです。五重塔では、この心柱と周囲の塔体との関係が、地震時の挙動を考えるうえで注目されてきました。

一般的な建物では、柱や梁、床などが互いにつながり、建物全体として地震の力を受け止めます。一方、五重塔では、心柱と周囲の構造がどのようにつながり、どのように揺れるかが特徴的です。

建物の揺れ方には、重さや高さ、部材の硬さ、接合部の状態などが影響します。心柱が周囲の塔体と異なる動きをすることが、揺れ方に影響する可能性があると考えられています。

ただし、東寺の五重塔を含むすべての五重塔で、心柱が同じように働くわけではありません。心柱の設置方法や構造は塔によって異なります。

2. 揺れを完全に止めるのではなく、建物全体で受け止める


地震対策というと、建物をできるだけ硬くして、揺れないようにするイメージがあるかもしれません。しかし、建築構造では、揺れを抑えることだけでなく、揺れによって生じる力をどのように受け止めるかも重要です。

木造建築では、木材の性質や部材同士の接合方法によって、建物全体の変形の仕方が変わります。地震の力が加わったとき、どの部材にどの程度の力がかかるのかを考えることが欠かせません。

五重塔の構造についても、心柱の存在だけでなく、塔体の組み方や各層の形、屋根の重量など、複数の要素を合わせて考える必要があります。

「昔の建築だから地震に強い」という単純な話ではありません。限られた材料を使いながら、建物全体がどのように力を受けるかを考えてきた点に、伝統建築の技術的な価値があります。

釘だけに頼らない!日本の伝統建築を支える木組みの技術

五重塔をはじめとする伝統的な木造建築には、木材同士を加工して組み合わせる技法が使われています。

その代表例が「継手(つぎて)」や「仕口(しぐち)」です。現代の木造建築でも使われている技術で、木材をどのようにつなぐかによって、施工のしやすさや接合部の性能が変わります。

継手と仕口は何が違う?


継手は、主に木材を長さ方向につなぐための加工方法です。短い木材同士をつなぎ、必要な長さを確保するときなどに使われます。

一方、仕口は、柱と梁のように異なる方向の部材を接合するための加工方法です。木材に凹凸などをつくり、互いにかみ合わせることで接合します。

どちらも、木材を単に重ねるだけではなく、形状を工夫して組み合わせる技術です。木材の寸法を正確に測り、加工する位置や深さを合わせる必要があるため、職人には高い技能が求められます。

「釘を使わないから強い」は本当?

伝統建築の紹介では、「釘を使わずに建てる」という点が強調されることがあります。しかし、釘を使わないこと自体が、必ずしも建物の強さを保証するわけではありません。

接合部の強さは、木材の種類や寸法、加工精度、力のかかる方向などによって変わります。金物を使うことが適している場合もあれば、木材の形を生かした接合が有効な場合もあります。

伝統的な木組みの魅力は、金属を使わないことだけではありません。木材の性質を理解し、必要な場所に適した加工を施し、部材同士を組み合わせる技術にあります。

現代の木造建築でも、伝統的な加工技術を生かす工法と、金物などを用いる工法の両方が使われています。建物の用途や求められる性能に合わせて、適切な方法を選ぶことが大切です。

屋根を支える「組物」にも職人の工夫がある


寺院建築を見上げると、柱の上に木材が幾重にも組み合わされた部分が見つかります。これは「組物」と呼ばれ、屋根などを支える役割を持つ部材の組み合わせです。

大きく張り出した屋根を支えるためには、柱の上部にかかる力を周囲へ伝える工夫が必要です。組物は、そうした構造上の役割を担うとともに、寺院建築ならではの美しい外観もつくり出しています。

東寺の五重塔にも、伝統的な和様の手法を用いた組物が見られます。国の文化財解説でも、塔の構造や細部の意匠が紹介されています。

東寺の五重塔と東京スカイツリーの意外な共通点

昔の五重塔と現代の超高層建築。一見すると、使われている材料も建て方もまったく異なります。

ところが、地震や強風による揺れをどう抑えるかという視点で見ると、興味深い共通点があります。その代表例が、東京スカイツリーの「心柱制振システム」です。

東京スカイツリーにも「心柱」がある


東京スカイツリーは、高さ634mの電波塔です。巨大な鉄骨造の塔体を中心に、地震や強風による揺れを抑えるためのさまざまな工夫が取り入れられています。

その一つが、中央部に設けられた鉄筋コンクリート造の心柱です。東京スカイツリーの公式解説によると、心柱と外周の塔体を構造的に分離し、それぞれの揺れ方の違いを利用して、塔全体の揺れを抑える仕組みが採用されています。

これは、現代の制振技術を用いたシステムです。心柱と塔体の間にはオイルダンパーが設けられ、両者の動きを調整する役割を果たしています。

五重塔の心柱から着想を得たこの技術は、伝統建築の知恵を現代の建築構造へつなげた事例として知られています。

共通するのは「揺れ方を考える」という発想

地震による揺れを抑える方法の一つに、建物本体とは異なる動きをする部材や装置を利用する考え方があります。

東京スカイツリーでは、心柱と塔体の揺れ方の違いを利用し、オイルダンパーなどを組み合わせて制振します。単純に建物を硬くするだけではなく、揺れをどう制御するかを考えた設計です。

一方、伝統的な五重塔では、心柱の設置方法や塔体との関係が塔によって異なります。五重塔の心柱と東京スカイツリーの心柱は、同じ構造や仕組みというわけではありません。

それでも、建物の中心部と周囲の構造の関係に着目し、揺れ方を考えるという点には、比較する価値があります。

伝統建築の知恵を、現代の科学技術で検証する

昔の職人たちは、現代のようなコンピューターシミュレーションや高度な計測機器を使っていたわけではありません。それでも、材料の性質や建物の形、部材の組み方を工夫し、経験を積み重ねながら技術を発展させてきました。

現代の建築技術では、こうした歴史的な建築物を調査し、構造の特徴を分析することができます。計算や実験によって仕組みを検証し、新しい建物の設計に生かすことも可能です。

伝統建築の技術は、現代の建築にも受け継がれている

五重塔と東京スカイツリーの比較から分かるように、建築技術は時代とともに変化しています。しかし、材料や構造が変わっても、建物を安全に支え、長く使い続けるという基本的な課題は変わりません。

木材を生かす技術は、現代の木造建築でも重要

現在の木造建築では、製材技術や加工機械、構造計算などが発達し、昔よりも精密な加工や性能の検証が可能になっています。

一方で、木材の性質を理解することや、部材を正確に加工すること、接合部の性能を確保することは、今も重要な技術です。

伝統的な木組みの技法も、文化財の修理や伝統建築の建設などで受け継がれています。機械による加工が進んだ現代でも、建物の形状や条件によっては、職人の経験と手作業による調整が必要になることがあります。

建築の安全性は、構造と維持管理の両方で支えられる

どれほど優れた構造であっても、建物は年月とともに劣化します。木材の腐朽や雨漏り、部材の傷みなどを放置すれば、安全性に影響する可能性があります。

歴史的な建築物を後世に残すためには、定期的な点検や修理が欠かせません。必要に応じて傷んだ部材を修繕し、建物の状態を確認しながら維持していく必要があります。

伝統建築が現代まで残っている背景には、建物そのものの構造だけでなく、修理や保存に携わってきた職人や専門家の存在があります。

建築技術とは、建物を一度つくって終わりにするものではありません。長い時間にわたって安全に使い、次の世代へ受け継ぐための技術でもあるのです。

日本の伝統建築を支える職人の技術とは?

伝統建築を実際につくり、修理する仕事では、木材の加工や組み立てに関する知識と技能が求められます。寺社建築などの伝統的な木造建築に携わる大工は、一般に宮大工と呼ばれます。

宮大工の仕事では、建物の形状や構造を理解し、木材の性質を見極めながら、必要な寸法に加工していきます。歴史的建築物の修理では、既存の部材や伝統的な工法を理解することも重要です。

図面を読む力と、実際に木を加工する力

建築の仕事では、設計図や施工図を理解し、建物をどのようにつくるか考える力が必要です。それに加えて、実際の現場では、材料の状態や寸法を確認しながら作業を進める技能も欠かせません。

木造建築では、柱や梁の位置、接合部の形状などを正確に把握する必要があります。木材の加工に誤差が生じれば、組み立てや建物全体の精度に影響するためです。

こうした技能は、教科書で構造を学ぶだけで身につくものではありません。道具の使い方を習得し、材料を加工し、実際に部材を組み立てる経験を重ねることが大切です。

昔の技術を学ぶことは、未来の建築を考えることでもある

建築技術は、古いものと新しいものに完全に分けられるわけではありません。伝統的な木組みの技法を学ぶことは、材料の性質や構造の仕組みを理解することにもつながります。

一方、現代の建築では、構造計算やCADなどのデジタル技術、最新の材料や施工方法について学ぶ必要があります。

建築を学ぶうえでは、伝統的な技能と現代の技術を対立するものとして捉えるのではなく、それぞれの特徴を理解することが重要です。

よくある質問(FAQ)

東寺の五重塔はなぜ地震で倒れにくいのですか?

心柱や塔体の構造、木材の性質など、複数の要素が関係していると考えられています。ただし、心柱だけで地震への強さを説明できるわけではなく、五重塔の耐震性については複数の説があります。

東寺の五重塔は何年前に建てられたのですか?

現在の塔は江戸時代の1643年ごろに再建されたものです。五重塔の創建は平安時代とされていますが、落雷や火災などによって焼失と再建を繰り返してきました。現在の建物と創建当初の建物は区別して考える必要があります。

東京スカイツリーは五重塔の技術をそのまま使っているのですか?

五重塔の心柱から着想を得ていますが、構造がそのまま再現されているわけではありません。東京スカイツリーでは、鉄筋コンクリート造の心柱と鉄骨造の塔体を構造的に分離し、オイルダンパーなどを組み合わせた現代の制振システムを採用しています。

木造建築は鉄筋コンクリート造より地震に強いのですか?

材料だけで一概に比較することはできません。建物の形状や構造、接合部、地盤、設計や施工の品質などによって耐震性能は変わります。木造にも鉄筋コンクリート造にも、それぞれの特徴と適した用途があります。

伝統建築の技術を学ぶには、どのような方法がありますか?

建築の基礎知識を学ぶほか、木材の加工や組み立てを実際に経験することも有効です。大工技能を学べる学校や実習、現場での経験を通じて、材料の扱い方や伝統的な工法への理解を深められます。将来の目標に合わせて、設計を中心に学ぶか、施工や職人技能を中心に学ぶかを考えるとよいでしょう。

まとめ|東寺の五重塔には、現代建築にも通じる知恵がある

東寺の五重塔は、木材を組み合わせた伝統的な構造によって建てられた、日本を代表する歴史的建築物です。心柱や木組み、屋根を支える組物など、その構造には、長い年月をかけて培われてきた技術が生かされています。

東京スカイツリーの心柱制振システムは、伝統建築から着想を得て、現代の科学技術によって発展させた事例です。昔の技術と最新の技術には違いがありますが、建物の揺れを考え、安全性を高めようとする姿勢には共通点があります。

また、歴史的建築物が残るためには、構造の工夫だけでなく、修理や保存に携わる職人の技術も欠かせません。建築は、建物を設計して建てるだけではなく、その価値を長く守り、次の世代へ受け継いでいく仕事でもあります。

昔の建築を知ることは、現代の建築技術を理解するきっかけにもなります。身近な建物を見上げたとき、その形や構造の裏側にある工夫にも目を向けてみてはいかがでしょうか。

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企画・編集:日本工科大学校 広報チーム 本記事は、日本工科大学校が運営する情報発信コンテンツとして制作しています。 建設・建築・土木・造園・大工分野、自動車整備分野、AI・IT分野を中心に、学生・高校生・保護者の皆さまへ向けて、技術や業界動向、分野にまつわる身近な疑問について分かりやすく解説しています。 掲載内容は公開時点の情報に基づいており、技術の進展や制度変更などに応じて更新する場合があります。