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半導体は足りてる?足りていない?製造工程や2026年最新状況、AI時代の需要を解説

半導体は足りてる?足りていない?製造工程や2026年最新状況、AI時代の需要を解説
※本記事は「半導体シリーズ 第2回」です。第1回では半導体の仕組みや歴史について解説しました。今回は、半導体がどのように作られているのか、そして「半導体不足は今も続いているのか」についてわかりやすく解説します。

●結論
半導体はシリコンから作られ、数百にも及ぶ精密な工程を経てチップになります。2026年現在、一般的な半導体不足は大きく改善しましたが、AI向けGPUや高帯域メモリ(HBM)など一部の先端半導体では需要が供給を上回る状況が続いています。

●この記事でわかること
・半導体の製造工程
・半導体工場で行われていること
・なぜ半導体製造が難しいのか
・半導体不足の現在の状況
・AI時代の半導体需要と将来性

●要点まとめ
・半導体はシリコンから作られる
・製造には数百工程の精密技術が必要
・クリーンルームが重要な役割を持つ
・一般向け半導体不足は改善傾向
・AI向け先端半導体は需要拡大中

半導体はどうやって作られる?

半導体は、砂の主成分でもあるシリコンを原料として作られます。

ただし、私たちが海辺で見る砂をそのまま使うわけではありません。

極限まで不純物を取り除いた高純度シリコンを使用し、髪の毛よりもはるかに細い回路を何層にも形成することで、スマートフォンやパソコンに搭載される半導体チップが完成します。

一枚の半導体チップができるまでには数百もの工程があり、完成まで数か月かかることも珍しくありません。

半導体の原料は何?シリコンから始まるものづくり

半導体の多くは、シリコンという材料から作られています。

「シリコン」と聞くと、スマホケースやキッチン用品に使われる柔らかい素材を思い浮かべるかもしれません。しかし、半導体に使われるシリコンと、私たちの身近にあるぷにぷにした素材は別物です。

半導体の原料となるシリコン(Silicon)は元素の一つで、砂や石英にも含まれています。一方、スマホケースなどに使われるシリコーン(Silicone)は、シリコンを原料として作られた合成樹脂です。

実は、スマートフォンやAIチップの出発点は意外にも身近な「砂」の仲間なのです。

シリコンは地球上に豊富に存在し、電気を流したり止めたりしやすい性質を持っています。そのため現在では、世界中の半導体の多くがシリコンを材料として製造されています。

インゴットとは?

精製されたシリコンは、高温で溶かした後に円柱状に固められます。

この円柱状の結晶をインゴットと呼びます。

インゴットは非常に高い品質が求められ、わずかな不純物でも性能に影響を与える可能性があります。

ウエハーとは?

インゴットを薄くスライスして作られる円盤状の板がウエハーです。

半導体チップは、このウエハーの表面に回路を形成することで製造されます。

ニュースなどで半導体工場の写真を見ると、作業員が大きな円盤を扱っていることがありますが、それがウエハーです。

半導体はどのような工程で作られるのか

半導体製造は非常に複雑です。

細かく分けると数百工程ありますが、初心者向けには次の流れを覚えておけば十分です。

  • シリコンを精製する
  • ウエハーを作る
  • 回路を描く
  • 回路を削る
  • チップを切り出す
  • パッケージに組み込む
  • 検査を行う

回路を描く「露光」工程

露光は半導体製造の中でも特に重要な工程です。

カメラやプロジェクターのように光を利用して、回路パターンをウエハー上へ転写します。

現在はナノメートル単位の超微細な回路が形成されています。

不要な部分を取り除く「エッチング」工程

露光によって描かれた回路をもとに、不要な部分を削り取ります。

これは彫刻作業のようなイメージです。

この工程を何度も繰り返すことで、複雑な半導体回路が完成していきます。

チップの切り出しとパッケージ化

回路形成が終わったウエハーは、小さなチップ単位に切り分けられます。

その後、保護や配線のためのパッケージに組み込まれ、最終的な製品として出荷されます。

なぜ半導体製造は難しいのか

半導体は世界でも最も精密な工業製品の一つといわれています。

その理由は、わずかなホコリでも製品不良につながる可能性があるためです。

クリーンルームが必要な理由

半導体工場にはクリーンルームと呼ばれる特殊な作業環境があります。

ここでは空気中の微粒子を極限まで除去しています。

私たちの目には見えない小さなホコリでも、半導体にとっては大きな障害になるからです。

実際に半導体工場の清浄度は、一般的なオフィスや家庭とは比較にならないレベルです。

世界最高レベルの技術が必要

現在の先端半導体は数ナノメートル級の微細な回路で構成されています。

人の髪の毛の太さと比較すると、何万分の一という世界です。

そのため製造装置や材料、製造技術のすべてに最先端の技術が求められます。

半導体不足は解消した?2026年最新状況

ニュースで話題になった半導体不足は、現在どうなっているのでしょうか。

結論から言うと、「コロナ禍のような深刻な半導体不足はかなり解消された。ただし、一部の先端半導体は今も不足している」というのが2026年時点の実態です。

数年前は、自動車メーカーの生産停止やゲーム機の品薄などが相次ぎ、「半導体不足」という言葉が頻繁にニュースで取り上げられました。

しかし現在は状況が変わりつつあります。

なぜ「半導体不足は解消した」と言われるのか

2020年から2022年頃にかけては、コロナ禍による需要の急増や物流の混乱によって、世界的な半導体不足が発生しました。

当時は、

  • 自動車メーカーの生産停止
  • ゲーム機の品薄
  • 家電製品の納期遅延
  • 半導体の納期が1年以上になるケース

など、さまざまな影響が発生していました。

その後、TSMCやSamsung、Intelなどの半導体メーカーが大規模な設備投資を進め、生産能力が拡大しました。

また、コロナ禍で急増していたパソコンやスマートフォン需要も落ち着いたため、多くの一般向け半導体では供給不足が改善しています。

現在では、スマートフォンやパソコン向けの半導体は比較的安定して供給されるようになっています。

それでも「まだ足りない」と言われる理由

一方で、「半導体不足は終わっていない」という声もあります。実は現在、不足している半導体の種類が変化しているのです。

特に需要が集中しているのは、

  • AI向けGPU
  • HBM(高帯域メモリ)
  • 先端パッケージ技術
  • 最先端プロセスの製造能力

です。

これらは生成AIやAIデータセンターで利用される最先端分野の半導体です。

ChatGPTをはじめとする生成AIの普及によって、世界中の企業がAI向け設備への投資を進めています。

その結果、生産能力を上回るペースで需要が増加している状況が続いています。

2026年時点の半導体供給状況

分野 2026年時点の状況
スマートフォン向け半導体 概ね供給は安定
パソコン向けCPU・GPU 概ね供給は安定
自動車向け半導体 大幅に改善したが一部では逼迫
AI向けGPU 需要が高く不足気味
HBM(高帯域メモリ) 需要が高く不足気味
パワー半導体(SiC・GaN) EV・再生可能エネルギー向け需要が急拡大中

つまり、「半導体が足りない」というよりも、「AI関連の先端半導体が足りない」という表現の方が現在の状況に近いと言えるでしょう。

今後はどうなる?

2026年現在、スマートフォンやパソコン向けなど一般的な半導体の供給は改善しています。

一方で、生成AIの普及によって、高性能GPUやHBM(高帯域メモリ)、先端パッケージ技術への需要は今後も高い水準で推移すると考えられています。

そのため半導体業界では、単純にチップを増産するだけでなく、AI向け先端半導体の生産能力をどこまで拡大できるかが重要な課題となっています。

今後の半導体市場は、「半導体全体の量」よりも、「どの半導体が必要とされるのか」がより重要になる時代へと変化していくでしょう。

なぜAIブームで半導体需要が増えているのか

現在、一部の先端半導体が不足している大きな理由のひとつがAIです。

生成AIの普及によって、世界中の企業がAI開発やAIサービスへの投資を進めています。その結果、AIを動かすために必要な高性能半導体の需要が急速に拡大しています。

AIは大量の計算を行う

ChatGPTのような生成AIは、膨大なデータをもとに計算を繰り返しながら回答を作成しています。

人間が数秒で読める文章を生成するためにも、裏側では非常に大量の計算が行われており、一般的なパソコンよりもはるかに高い計算能力が必要になります。

GPUがAI開発を支えている

そこで活躍しているのがGPUです。GPUはもともとゲームの映像処理を目的として開発された半導体ですが、多くの計算を同時に処理する能力に優れています。

この特性がAIの学習や推論処理と相性が良いため、現在ではAI向け半導体の中心的な存在となっています。

GPUだけではなくメモリやパッケージ技術も重要

実はAIサーバーでは、GPUだけが重要なわけではありません。

GPUが高速に動作するためには、

  • HBM(高帯域メモリ)
  • 先端パッケージ技術
  • 高速通信技術

も必要になります。そのため現在は、GPUだけでなくHBMや先端パッケージなども供給不足が課題となっています。

半導体業界の将来性はある?

結論から言うと、半導体の重要性は今後も高まると考えられています。

その理由は、AIやロボット、自動運転、IoTなど、新しい技術の多くが半導体によって支えられているからです。

  • AI:生成AIやデータセンター向け半導体の需要が拡大
  • ロボット:産業用ロボットやサービスロボットに多数搭載
  • 自動運転:画像認識や制御のために高性能半導体が必要
  • IoT:家電や機械がインターネットにつながることで需要が増加

これからの社会では、さまざまなモノがデジタル化・自動化されていくと考えられています。

そのため半導体は単なる電子部品ではなく、AI時代を支える基盤技術として今後も重要な役割を担っていくでしょう。

よくある質問(FAQ)

半導体は何から作られていますか?

主にシリコンから作られています。シリコンは電気を制御しやすく、地球上に豊富に存在するため広く利用されています。

半導体工場はなぜクリーンルームが必要なのですか?

微細なホコリでも不良品の原因になるためです。そのため空気中の粒子を極限まで除去した環境で製造されています。

半導体不足は解消しましたか?

一般向け半導体は改善傾向にありますが、AI向けGPUやHBMなど一部の先端半導体は需給が逼迫しています。

生成AIと半導体は関係ありますか?

あります。生成AIは大量の計算を必要とするため、高性能なGPUなどの先端半導体によって支えられています。

半導体業界に将来性はありますか?

AI、ロボット、自動運転、IoTなどの発展により、今後も重要性が高い分野として注目されています。

まとめ

半導体はシリコンを原料とし、数百に及ぶ精密な工程を経て作られています。

その製造には世界最高レベルの技術やクリーンルーム環境が必要であり、私たちが日常的に使うスマートフォンやパソコン、自動車などを支えています。

また、2026年現在は一般向け半導体の供給状況が改善している一方で、生成AI向けの先端半導体については高い需要が続いています。

半導体不足というニュースの背景には、AI時代ならではの新しい需要の変化があるのです。

AI技術は日々進化しています。ニュースで目にする技術も、その仕組みを知ると見え方が変わるかもしれません。

その上で、AIについてさらに体系的に学びたい方は、日本工科大学校のAI分野の学びも参考にしてみてください。

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企画・編集:日本工科大学校 広報チーム
本記事は、日本工科大学校が運営する情報発信コンテンツとして制作しています。
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